差し押さえは信用情報に載る?原因別の影響と確認方法

「差し押さえの通知が届いた」
あるいは「すでに口座や給与を差し押さえられた」
「このあと信用情報はどうなるのか」
住宅ローンやクレジットカードはもう組めないのか、と不安になっているのではないでしょうか。
結論として、差し押さえを受けたという事実そのものが信用情報機関に登録されることはありません。ただし「何が原因だったか」によって、その後への影響はまったく変わります。
この記事では原因別に整理したうえで、ご自身の記録を実際に確認する方法と、ここから回復させるまでの道筋まで解説します。
結論:差し押さえそのものは信用情報に登録されない
まず押さえていただきたいのは、次の3点です。
- 差し押さえを受けたという事実は、信用情報機関には登録されない
- 登録されるのは、そこに至る前段階で発生した「延滞」のほう
- だから、何が原因だったかによって影響がまったく違う
「財産を取り上げられた=いわゆるブラックリスト入り」と考えている方が多いのですが、これは正確ではありません。両者は別々の出来事で、たまたま同時に起きることがあるだけです。
信用情報に載るのは「差し押さえ」ではなく、その前段の延滞
なぜ登録されないのか。理由は信用情報機関の仕組みにあります。
信用情報機関は、加盟している会員企業から報告を受けて情報を蓄積しています。会員となっているのは、クレジットカード会社・信販会社・消費者金融・銀行といった、お金を貸す側の事業者です。そして自治体や税務署、裁判所はその会員ではありません。報告する立場にないため、事実が伝わる経路そのものが存在しないのです。
時系列で見ると、次のようになります。
| 時点 | 起きていること | 信用情報への登録 |
| ① 支払いが遅れる | 滞納の発生 | 短期なら登録されないことが多い |
| ② 延滞が長期化 | 2〜3か月以上の延滞 | ここで事故情報が登録される |
| ③ 督促・催告 | 督促状・催告書が届く | 新たな登録はない |
| ④ 差し押さえ | 財産の凍結・取り立てが実行 | 登録されない |
つまり、借金の滞納でここまで進んだ方は、④の時点ではなく②の時点ですでに記録されていることになります。逆に税金の滞納では②が存在しないため、④まで進んでも記録は無傷のまま、ということが起こります。
【早見表】原因別に見た信用情報への影響
ご自身がどのケースに当たるか、まずここで確認してください。
| 差し押さえの原因 | 信用情報への直接の登録 | 実質的な影響 | 注意すべき例外 |
| 税金・社会保険料の滞納 | されない | 原則なし | 口座凍結・住宅ローン口座・カード払いを経由すると影響あり |
| 借金(カードローン・クレカ)の滞納 | されない(が既に登録済み) | 大きい | 差し押さえ以前に長期延滞として登録されている |
| 養育費・慰謝料の不払い | されない | 原則なし | 給与の差し押さえ範囲が借金より広い |
| 罰金・科料 | されない | 原則なし | — |
見ていただくと分かるとおり、直接載る原因は一つもありません。問題になるのは「借金の滞納は執行より前にすでに登録されている」ことと、「税金の滞納でも間接的に記録を傷つける経路がある」ことの2点です。以降で、それぞれを詳しく見ていきます。
そもそも信用情報・ブラックリストとは何か

原因別の話に入る前に、前提となる用語を整理しておきます。すでにご存じの方は次の章まで読み飛ばしていただいて構いません。
「ブラックリスト」という名簿は存在しない
よく使われる「ブラックリスト」という言葉ですが、そのような名簿が実在するわけではありません。実体は、信用情報機関に登録された事故情報(異動情報)のことを指す俗称です。
金融機関は融資やカード発行の審査でこの記録を照会します。事故情報が残っていると審査に通りにくくなる。その状態を、通称としてブラックリスト入りと呼んでいるにすぎません。
信用情報機関は3つ(CIC・JICC・KSC)と情報の共有範囲
日本には信用情報機関が3つあり、それぞれ加盟している会員企業が異なります。
| 機関 | 正式名称 | 主な加盟会員 |
| CIC | 株式会社シー・アイ・シー | クレジットカード会社、信販会社、携帯電話会社など |
| JICC | 株式会社日本信用情報機構 | 消費者金融、信販会社など |
| KSC | 全国銀行個人信用情報センター | 銀行、信用金庫、信用保証協会など |
3機関はそれぞれ独立していますが、まったく分断されているわけではありません。延滞や債務整理といった重大な事実については、CRINという制度を通じて3機関の間で共有される仕組みがあります。「消費者金融の延滞なら銀行にはバレない」といったことは期待できないとお考えください。
なお、KSCは会員からの報告に加えて、官報に掲載された破産などの情報を独自に収集しています。この点が他の2機関と異なります。
事故情報として登録される4つのケース
事故情報が登録されるのは、主に次の場合です。
- 長期の延滞 — おおむね2〜3か月以上の支払い遅延(基準は会員企業により異なります)
- 代位弁済・保証履行 — 保証会社が本人に代わって返済したとき
- 債務整理 — 任意整理・個人再生・自己破産の手続きを行ったとき
- 強制解約 — 支払い不能などを理由にカードや契約が打ち切られたとき
「1回うっかり残高不足で引き落とせなかった」という程度では、通常すぐに事故情報にはなりません。ただし遅延の記録自体は残るため、繰り返せば審査に影響します。
【原因別】差し押さえが信用情報に与える影響
ここからが本題です。早見表で確認したご自身のケースを、詳しく見ていきましょう。
税金・社会保険料の滞納による差し押さえ
住民税、固定資産税、自動車税、国民健康保険料、国民年金保険料などの滞納で財産を押さえられた場合、信用情報には登録されません。
理由は前述のとおりで、徴収する側である自治体・税務署・年金機構が会員ではないためです。滞納の事実も、財産調査も、執行そのものも、信用情報機関には伝わりません。
ただし、ここで安心して放置するのは危険です。「載らない」ことと「影響がない」ことは別物だからです。次の章で詳しく触れますが、税金滞納から間接的に記録を壊す経路が複数あります。また、事業者の方は融資審査で納税証明書の提出を求められるため、別のルートで滞納が判明します。
借金(カードローン・クレジットカード)の滞納による差し押さえ
こちらは前の①とまったく事情が異なります。結論として、執行の時点ではすでに事故情報が登録されていると考えてください。
理由は、債権者がそこに至るまでの手続きにあります。貸金業者やカード会社が財産を押さえるには、裁判所の判決や支払督促といった「債務名義」が必要です。そこまで進むには、督促を無視した状態が数か月から年単位で続いているはずで、その過程で長期延滞として登録されています。
さらに、保証会社が付いている契約では、途中で代位弁済が行われているケースも少なくありません。これも独立した事故情報として登録されます。
したがって、借金が原因の方は「執行のせいで記録が傷ついた」のではなく、「記録が傷つくほど延滞した結果、そこまで来た」という順序になります。一定期間はローンやカードの審査が通りにくい状態が続くとお考えください。
養育費・慰謝料の不払いによる差し押さえ
離婚時の取り決めに基づく養育費や慰謝料の不払いでも、給与や預金は押さえられます。この場合も信用情報には登録されません。相手方が家庭裁判所などの手続きを経て申し立てるものであり、金融機関が関与しないためです。
ただし、こちらには別の注意点があります。押さえられる範囲が、借金の場合より広くなるという点です。民事執行法では給与を押さえられるのは原則4分の1までとされていますが、養育費や婚姻費用については同法152条3項により2分の1まで認められています。生活への打撃は借金の場合より大きくなります。
罰金・科料による差し押さえ
罰金や科料を納付しない場合の徴収は、検察庁が行います。こちらも金融機関が関与しないため、信用情報には登録されません。
税金滞納なのに信用情報に響いてしまう3つの落とし穴

「税金の滞納なら信用情報は無傷」。ここで終わらせてしまう解説記事が多いのですが、実務上はそう単純ではありません。税金滞納をきっかけに、間接的に記録を傷つけてしまう経路が存在します。
心当たりがないか、3つとも確認してください。
落とし穴①:口座凍結で他の引き落としが連鎖的に失敗する
預金口座を差し押さえられると、その口座の資金は動かせなくなります。問題は、その口座を他の支払いの引き落とし口座にしていた場合です。
クレジットカードの利用代金、家賃、スマートフォンの分割代金、各種ローンの返済。これらの引き落としが同時に失敗します。そしてこの延滞は、当然に登録されます。税金の滞納そのものは記録されないのに、口座凍結を経由して結果的に事故情報が付いてしまうわけです。
対策としては、予告通知が届いた段階で引き落とし口座を分けておくことが考えられます。ただし、執行を免れる目的での資産の移動は問題視される可能性があるため、自己判断で進めず、自治体の窓口や専門家に相談してから動いてください。
落とし穴②:住宅ローンの返済口座が差し押さえられ「期限の利益」を失う
3つのなかで最も深刻なのがこれです。住宅ローンの返済口座を押さえられて返済が滞ると、次のような連鎖が起こります。
- 住宅ローンの返済が引き落とせない
- 延滞が続き、期限の利益を喪失する(分割で返す権利を失う)
- 残債の一括返済を求められる
- 払えないため、保証会社による代位弁済が行われる
- 代位弁済が事故情報として登録される
- 最終的に自宅が競売にかけられる
税金の滞納から始まって、最後は信用情報の毀損と住まいの喪失に行き着く。
これが最悪の経路です。住宅ローンを利用中の方は、返済口座が対象になっていないかを最優先で確認してください。
落とし穴③:税金をクレジットカードで払って滞納した場合
税金はクレジットカードでも納付できますが、この方法を使った場合、債務の相手はカード会社に変わります。
自治体への納税は完了していても、カード会社への支払いが残ります。そしてカード利用代金の延滞は、通常のショッピング利用と同じく登録されます。「税金だから載らない」という理解は、この場合には当てはまりません。
【思い当たることがある方へ】 3つの落とし穴のいずれかに心当たりがある場合、放置すると記録にまで影響が及びます。財務再生支援センターでは緊急のご相談も受け付けています。今の段階なら間に合う手が残っているかもしれません。まずは状況をお聞かせください。
差し押さえまでの流れとタイムリミット
自分が今どの段階にいるのかを把握しておくと、打てる手が見えてきます。税金と借金では流れが大きく異なるので、並べて確認しましょう。
税金滞納の場合(督促状→催告書→財産調査→差し押さえ)
一般的な流れは次のとおりです。期間はあくまで目安で、自治体や税目、滞納額によって運用は大きく変わります。
| 段階 | 内容 | 納期限からの目安 |
| 1 | 督促状の送付 | 20日程度 |
| 2 | 催告書・差押予告書の送付 | 1〜2か月程度 |
| 3 | 財産調査(預金・勤務先・不動産) | 3〜5か月程度 |
| 4 | 差し押さえの実行 | 3〜6か月程度 |
重要なのは、3の財産調査は本人に通知されないという点です。「まだ何も言われていないから大丈夫」と考えていると、ある日突然、口座が凍結されていたということになりかねません。
借金滞納の場合(督促→一括請求→訴訟・支払督促→強制執行)
一方、借金の場合は次のような流れをたどります。
| 段階 | 内容 | 信用情報の状態 |
| 1 | 電話・書面による督促 | 遅延の記録が残り始める |
| 2 | 期限の利益喪失・一括請求 | この前後で事故情報が登録 |
| 3 | 保証会社による代位弁済 | 代位弁済として登録 |
| 4 | 訴訟・支払督促の申立て | 新たな登録はない |
| 5 | 判決確定・強制執行(差し押さえ) | 新たな登録はない |
見てのとおり、記録が傷つくのは2〜3の段階です。財産の差し押さえは、それとは無関係にその後から起こる出来事にすぎません。
2つの決定的な違い:税金には「自力執行権」がある
流れを並べると、意外な事実が見えてきます。税金のほうが借金より早く執行に到達するのです。
借金の場合、債権者は裁判所の手続きを経て債務名義を取得しなければ執行できません。これには通常、数か月から年単位の時間がかかります。
これに対して税金の徴収には自力執行権が認められており、裁判所の手続きを経ずに、行政の判断だけで実行できます。「借金より税金のほうが後回しでいい」という感覚は、実務上は完全に逆です。
資金繰りが厳しくなる前の選択肢として、即日資金調達の方法もご参考ください。
差し押さえの対象になる財産・ならない財産
何もかも取り上げられるわけではありません。生活の維持に必要なものは法律で保護されています。
給与はどこまで差し押さえられるか
給与の差し押さえには上限があります。ただし原因によって計算方法がまったく異なるので、この点は正確に押さえてください。
借金など一般の債権による場合(民事執行法152条)
条文上は「給付の4分の3に相当する部分は差し押さえてはならない」と定められています。裏を返すと、押さえられるのは手取り額の4分の1までです
ただし、その4分の3にあたる額が33万円を超えるときは、超過額が対象になります。つまり手取りが月44万円(33万円 ÷ 0.75)を超えると、33万円を超える部分は全額が押さえられます
養育費・婚姻費用など扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合は、差押禁止となるのは2分の1まで(同条3項)。一般の借金より広く押さえられます
ご自身の手取り額を44万円と比べてみてください。下回っていれば4分の1まで、上回っていれば「手取り − 33万円」が目安になります。
税金の滞納処分による場合(国税徴収法76条)
こちらは「◯分の1」という考え方ではありません。給与から次のものを差し引いた残りが対象になります。
- 源泉徴収される所得税
- 特別徴収される住民税
- 社会保険料
- 滞納者本人と、生計を一にする親族の生活費に相当する額
- 上記1〜4の合計額を控除した残額のうち、体面維持費として一定割合
ここで注意していただきたいのが、4の生活費に相当する額です。この基準は2026年4月に引き上げられました。
| 区分 | 改正前 | 改正後(2026年4月1日以降に支給される給与) |
| 滞納者本人(1月ごと) | 100,000円 | 107,000円 |
| 生計を一にする親族1人につき加算 | 45,000円 | 48,000円 |
物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みが設けられたことに伴う改正です(出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」、八王子市「給与等の差押に係る差押金額計算書」)。
インターネット上の解説記事の多くは、まだ改正前の「10万円・4万5千円」のまま更新されていません。他のサイトでこの金額を見かけた場合は、改正前の情報だとお考えください。ご自身の差押禁止額を計算するときは、必ず上の改正後の金額を使ってください。
たとえば配偶者と子ども1人を扶養している方であれば、生活費に相当する額は 107,000円 + 48,000円 × 2人 = 203,000円 となります。ここから所得税・住民税・社会保険料も差し引かれるため、実際に押さえられる金額は想像よりずっと小さいことが多いはずです。
差し押さえが禁止されている財産
法律上、押さえてはならないと定められている財産もあります。
- 生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具
- 一定額までの現金(手元にある現金)
- 業務に欠くことができない道具(職業によって範囲が異なります)
- 実印など、通常の日常生活に不可欠なもの
- 仏像、位牌など礼拝や祭祀に必要なもの
なお、給与が振り込まれた後の預金は「給与」ではなく「預金債権」として扱われます。口座に入った時点で、上記の制限が及ばなくなるケースがある点は知っておいてください。
勤務先や家族に知られるのか
これも多くの方が強く気にされる点です。結論は、何を押さえられたかによって変わります。
| 対象 | 勤務先に知られるか | 家族に知られるか |
| 給与 | 知られる(勤務先に通知が届く) | 手取りの減少で気づかれやすい |
| 預金口座 | 原則知られない | 通帳を共有していなければ気づかれにくい |
| 不動産 | 原則知られない | 登記に記載されるため調べれば分かる |
給与が対象になる場合、勤務先は法律上の第三債務者として通知を受け取るため、隠すことはできません。ただし、これを理由とした解雇は原則として認められないと考えられています。
転職した場合、それが新しい勤務先へ自動的に引き継がれることはありません。ただし債権者が転職先を把握すれば、改めて申立てを行うことは可能です。また退職金も対象になり得ます。
なお、家族の記録が本人と共有されることはありません。信用情報は個人単位で管理されるため、配偶者や子どもの審査に直接影響することはないとお考えください。
自分の信用情報を確認する方法【CIC・JICC・KSC】
ここまで読んで「自分の場合はどうなのか」と気になった方は、推測をやめて実際に確認するのが確実です。本人であれば開示請求できます。
3機関の開示請求方法と手数料の比較表
3機関それぞれに請求が必要です。加盟会員が異なるため、1つだけ開示しても全体像は分かりません。
| 機関 | 方法 | 手数料 | 結果までの日数 | 必要なもの |
| CIC | インターネット | 500円 | 即時(8:00〜21:45) | マイナンバーカード、スマートフォン |
| 郵送 | 1,500円 | 1週間〜10日程度 | 申込書、本人確認書類 | |
| JICC | スマートフォンアプリ | 700円 | 1〜3日程度 | 本人確認書類 |
| 郵送 | 2,177円(速達は2,511円) | 書類到着後7〜10日 | 申込書、本人確認書類2点、郵送開示利用券 | |
| KSC | インターネット | 800円 | 最短3〜5営業日(即日不可) | マイナンバーカード、NFC対応スマートフォン |
(出典:CIC「信用情報を開示する」、JICC「本人による開示申し込み(スマホ申込)」・同(郵送)、全国銀行協会「本人開示の手続き」。JICCの手数料は2025年11月20日の改定後の金額)
なお、JICCの郵送手数料には開示結果の郵送料金(本人限定受取郵便)とコンビニチケットの発行手数料が含まれています。
手数料や方法は改定されることがあります。申し込む前に各機関の公式サイトで最新の情報をご確認ください。オンラインの方法を選べば、3機関すべてを開示しても 500円+700円+800円=合計2,000円です。状況を正確に知るための費用としては安いはずです。
開示報告書のどこを見ればよいか
開示報告書は情報量が多く、初めて見ると戸惑います。確認すべきポイントを絞ってお伝えします。
- 「異動」の記載があるか:CICの報告書では、返済状況欄に「異動」と記載されていれば事故情報が登録されている状態です
- 入金状況欄の記号:24か月分の支払い履歴が記号で並びます。「$」は請求どおりの入金、「A」は未入金を表します
- 契約終了予定日・完了予定日:事故情報が消えるタイミングを推測する起点になります
- 保有期限:情報がいつまで保有されるかが記載されている場合があります
記号の意味は報告書に凡例が付いているので、それを見ながら確認してください。読み方が分からない場合は、各機関の相談窓口で質問できます。
事故情報が残る期間の目安
登録期間は機関と事由によって異なります。おおよその目安は次のとおりです。
| 機関 | 延滞・債務整理などの情報 | 官報情報(破産など) |
| CIC | 契約期間中および契約終了後5年以内 | 保有しない(平成21年4月1日に収集・保有を中止) |
| JICC | 契約継続中および契約終了後5年以内 | — |
| KSC | 契約期間中および契約終了日から5年を超えない期間 | 7年 |
(出典:CIC「CICが保有する信用情報」、JICC「登録内容と登録期間」、全国銀行協会 全国銀行個人信用情報センター)
CICが官報情報を保有していない点について、補足があります。破産そのものの記録は持っていませんが、免責許可決定を確認した会員会社がコメントとして登録することがあり、その場合は報告日を起算点に5年間登録されます。「CICには残らない」と単純に考えないほうが安全です。
そしてもう一つ、登録期間の起算点が重要です。KSCの取引情報は「契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間」とされています。つまり起算点は「延滞が発生した日」ではなく、多くの場合「延滞を解消した日」または「契約が終了した日」です。
放置している限り、時計は進みません。延滞を解消しないまま5年待っても事故情報は消えない、とお考えください。
なお、登録期間は変更されることがあり、また同じ事由でも会員企業の報告内容によって差が出ます。正確なところは開示報告書の記載でご確認ください。
【審査別】いつから借りられる?ローン・カード・賃貸・スマホへの影響
「ローンが組めない」と一括りにされがちですが、実際には審査の種類によって事情が変わります。
| 審査の種類 | 信用情報の影響 | 補足 |
| 住宅ローン | 非常に大きい | 事故情報があると実質的に困難。税金の滞納も納税証明書で判明する場合がある |
| 自動車ローン・カーリース | 大きい | 信販会社を通すため、CICを照会される |
| クレジットカード | 大きい | 新規発行・更新のいずれも通りにくくなる |
| 賃貸住宅の入居審査 | 保証会社による | 信販系の保証会社ならCIC照会あり。独立系なら信用情報は見ないことが多い |
| スマートフォンの端末分割 | あり | 割賦販売にあたるためCICへ照会される。一括購入なら影響は小さい |
見落とされがちなのが、下の2つです。
賃貸住宅の入居審査
家賃保証会社の種類で結論が変わります。信販系(クレジットカード会社系列)の保証会社は照会を行いますが、独立系の保証会社は自社の情報のみで判断することが一般的です。事故情報がある場合は、独立系の保証会社を使う物件を探すという方法があります。
スマートフォンの端末分割
割賦販売にあたるため、CICへの照会が行われます。分割審査に通らない場合でも、端末を一括で購入すれば回線契約自体は可能なケースがあります。
なお、審査基準は各社が非公開としており、事故情報があれば必ず落ちる、なければ必ず通るというものではありません。あくまで傾向としてご理解ください。
個人事業主・法人は納税証明書で滞納が露見する
事業者の方は、信用情報とは別のルートに注意が必要です。
日本政策金融公庫や銀行の融資審査では、納税証明書の提出を求められることがほとんどです。ここで税金の滞納が判明すれば、信用情報が無傷であっても融資は難しくなります。「税金は記録に残らないから後回しでよい」という判断は、事業者にとって特に危険です。
法人税や消費税の滞納は、金融機関からの信用そのものを損ないます。資金繰りが苦しい場合でも、納税を止める前に猶予制度の相談を優先してください。
事業資金の調達方法として、ファクタリングとは何かもあわせてご確認ください。
差し押さえを受けたときの対処法

状況が把握できたら、次は打つ手です。原因によって取るべき手続きが違います。
税金の場合:換価の猶予・納税の猶予を申請する
一時に納付することが難しい場合、猶予制度を申請できます。国税には「換価の猶予」という制度があり、国税を一時に納付することで事業の継続または生活の維持が困難になるおそれがあると認められる場合などに、財産の差し押さえや換価(売却)が猶予されます(出典:国税庁「G-9 換価の猶予の申請手続」)。
押さえておきたい要点は次のとおりです。
申請期限がある
納期限から6か月以内に「換価の猶予申請書」を所轄の税務署へ提出する必要があります
猶予期間は1年の範囲内
猶予期間内に完納できないやむを得ない理由があると認められる場合は、当初の期間が終わる前に申請することで、合わせて最長2年以内まで延長が認められることがあります
分割納付が前提
猶予を受けた国税は、原則として猶予期間中の各月に分割して納付する必要があります
延滞税が軽減される
猶予期間中の延滞税は軽減されます(割合は年により変わります)
原則として担保が必要。ただし例外がある
猶予を受ける金額に相当する担保の提供が原則必要ですが、
- 猶予を受ける金額(未確定の延滞税を含む)が100万円以下
- 猶予期間が3か月以内
- 担保を提供できない特別の事情がある
このいずれかに当てはまる場合は担保は不要です(出典:国税庁「猶予の申請の手引」)
「担保になるものがないから、どうせ使えない」と諦めてしまう方が少なくありません。しかし100万円以下であれば担保なしで申請できます。ここは知っているかどうかで結果が変わります。
すでに差し押さえを受けた後でも、換価(売却)を猶予してもらえる場合があります。地方税や社会保険料にも同様の制度があります。国税なら所轄税務署の徴収担当、地方税なら市区町村の納税課が窓口です。申請すれば必ず認められるものではなく、要件の判断は個別に行われます。
猶予制度以外にも事業資金を早期に確保する方法として、ファクタリングの審査基準を解説した記事もあります。
借金の場合:債務整理を検討する
借金が原因であれば、債務整理によって執行を止められる可能性があります。主な手続きは3つです。
| 手続き | 内容 | 執行への効果 |
| 任意整理 | 債権者と直接交渉し、将来利息のカットや分割を取り決める | 直接止める効力はない |
| 個人再生 | 裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3年で返済 | 手続きの中で中止・失効させられる場合がある |
| 自己破産 | 裁判所を通じて返済義務を免除してもらう | 手続きの中で中止・失効させられる場合がある |
ただし、債務整理をすると、そのこと自体が事故情報として登録されます。この点は隠さずお伝えしておきます。とはいえ、執行まで進んでいる方はすでに長期延滞として登録されている場合がほとんどですので、「債務整理をするから傷つく」という順序ではないことが多いはずです。
どの手続きが適しているかは、借入の内容・収入・保有資産によって変わります。自己判断せず、弁護士や司法書士に相談して選んでください。
借入への依存度が高い場合の考え方は、借入依存度の記事で詳しく解説しています。
重要:税金は自己破産しても支払い義務が消えない
ここは必ず知っておいてください。税金や社会保険料は、自己破産をしても支払い義務がなくなりません。
破産法253条1項1号により、租税等の請求権は非免責債権と定められています。免責が認められても効力が及ばないため、支払い義務は残り続けます。対象となるのは次のようなものです。
- 所得税、贈与税などの国税
- 住民税、固定資産税、自動車税などの地方税
- 国民健康保険料、国民年金保険料
- 下水道使用料など、一部の公的な請求権
「借金も税金もまとめて自己破産で解決しよう」と考えて手続きを進めても、税金は残ります。税金の滞納が主因の方は、自己破産ではなく猶予制度の申請と分割納付の交渉が本筋になるとお考えください。
やってはいけないNG行動
最後に、状況を悪化させる行動を挙げておきます。
通知を放置する・無視する
財産調査は本人に知らされないまま進みます。連絡を取っている間は強硬な措置を避けてもらえる余地がありますが、無視すれば選択肢は減る一方です
別の借入で穴埋めする
高金利の借入で税金を払うと、今度はその返済が記録を直撃します
財産の名義を変更する
執行を免れる目的での財産の移転は、詐害行為として取り消される可能性があります
費用をかけずに相談できる公的な窓口
「専門家に相談したほうがよいのは分かるが、費用が心配で踏み出せない」という方も多いはずです。公的・中立の窓口であれば、無料で相談できます。まずはここから始めても構いません。
| 窓口 | 連絡先 | 受付時間 |
| 法テラス(日本司法支援センター) | 0570-078374 | 平日9時00分〜21時00分/土曜9時00分〜17時00分 |
| 日本クレジットカウンセリング協会(多重債務ほっとライン) | 0570-031640 | 月〜金 10時00分〜12時40分、14時00分〜16時40分(祝日等を除く) |
| 消費者ホットライン | 188(いやや) | 郵便番号等の入力で最寄りの消費生活センター等を案内 |
| 所轄税務署の徴収担当/市区町村の納税課 | 各窓口 | 税金・社会保険料の猶予制度の相談窓口 |
法テラスは国が設立した法的トラブル解決の総合案内所です。収入等の条件を満たせば、弁護士・司法書士による無料法律相談を受けられる制度があります。
日本クレジットカウンセリング協会は公益財団法人で、電話相談も面接カウンセリングも、任意整理を行う場合であっても費用は一切かかりません(出典:法テラス、日本クレジットカウンセリング協会、消費者庁「消費者ホットライン」)。
いずれも中立の立場で、営業目的の勧誘はありません。ひとりで抱え込む前に、まず電話をかけてみてください。
【どの手続きが合うか分からない方へ】 どの手続きが適しているかは、借入の内容や滞納の状況によって変わります。財務再生支援センターでは、今取れる選択肢を整理いたします。ひとりで抱え込まず、まずはご相談ください。
他社での資金調達を検討中の方は、ファクタリング会社の乗り換えについての記事も参考になります。
信用情報を回復させるまでのロードマップ
最終的なゴールは「また普通に借りられる状態に戻ること」のはずです。そこまでの道筋を、時系列で整理します。
ステップ1:延滞を解消する(今日から)
前述のとおり、事故情報の登録期間の起算点は多くの場合「延滞を解消した日」または「契約が終了した日」です。放置している限り、待っても何も進みません。完済が難しければ、債務整理や猶予制度で「解消した状態」を作ることが出発点になります。
ステップ2:登録期間が経過するのを待つ(おおむね5年)
この期間にできることは限られますが、無意味な時間ではありません。新たな延滞を作らないこと、そして次のステップに向けて生活を立て直すことに集中してください。この間に何度もカードやローンを申し込むと、申込情報が記録されて逆効果になります(申込情報は6か月程度で消えます)。
ステップ3:開示請求で消えたことを確認する
期間が過ぎたと思っても、自己判断で申し込むのは避けてください。必ず開示請求で「異動」の記載が消えたことを確認してから動きます。数百円の手数料で、無駄な申し込みによる新たな記録を防げます。
ステップ4:小さな実績を作り直す
審査では「事故がない」だけでなく「きちんと支払った履歴がある」ことも評価されます。まずはスマートフォンの端末分割や少額のクレジットカードから始め、遅れずに支払う履歴を積み上げてください。住宅ローンのような大きな審査は、その実績ができてからのほうが通りやすくなります。
税金の滞納が原因だった方は、そもそも記録が無傷であることが多いため、このロードマップは不要です。滞納を解消し、納税証明書がきれいな状態に戻すことがそのまま回復になります。
差し押さえと信用情報に関するよくある質問

Q:差し押さえられた事実は一生残りますか?
信用情報機関には登録されないため、そこに記録が残ることはありません。ただし借金が原因の場合、その前段の延滞や代位弁済の情報が5年程度残ります。不動産の場合は登記簿に記載されますが、完納すれば抹消できます。
Q:1つの口座を差し押さえられたら、他の銀行口座も凍結されますか?
効力が及ぶのは、申立てで特定された金融機関・支店の口座だけです。無関係の他行口座が自動的に凍結されることはありません。ただし財産調査で他の口座が把握されれば、追加で対象になる可能性はあります。
Q: 家族の信用情報に影響しますか?
影響しません。記録は個人単位で管理されており、家族間で共有されることはないためです。ただし配偶者が連帯保証人になっている場合や、家族カードの本会員である場合は別で、その契約を通じて影響が及びます。
Q:完納すればすぐ解除されますか?
税金の場合、完納が確認されれば解除されます。事務処理の都合で数日かかることが一般的です。口座の凍結が解けるタイミングは金融機関によって異なるため、急ぎであれば徴収担当の窓口に確認してください。
Q:差し押さえを受けている最中でも、新しくカードは作れますか?
執行自体は信用情報に載らないため、税金が原因で他に事故情報がなければ、審査に通る可能性はあります。一方、借金が原因の場合はすでに事故情報が登録されているため、新規発行は難しいでしょう。
Q:転職すれば給与の差し押さえは止まりますか?
新しい勤務先へ自動的に引き継がれることはありません。ただし債権者が転職先を把握すれば、改めて申立てを行えます。また退職金も差し押さえの対象になり得ます。転職は根本的な解決にはならないとお考えください。
まとめ:差し押さえの影響は「原因」で決まる。まず自分の信用情報を確認しよう
差し押さえを受けたこと自体が信用情報に登録されるわけではありません。最後に要点を整理します。
- 登録されるのは差し押さえではなく、その前段の「延滞」です。自治体や裁判所は信用情報機関の会員ではありません
- 税金・社会保険料・養育費・罰金が原因の場合は、原則として信用情報には載りません
- 一方、借金の滞納が原因の場合は、その時点ですでに事故情報が登録されていると考えてください
- 税金滞納でも、口座凍結による引き落とし失敗や住宅ローンの期限の利益喪失を経由すると、結果的に記録が傷つきます
- 自分の状況は推測せず、CIC・JICC・KSCへ開示請求して確認するのが確実です。オンラインなら3機関で合計2,000円です
- 税金滞納による給与の差押禁止額は2026年4月に引き上げられました(本人107,000円+親族1人につき48,000円)。改正前の金額で説明している記事が多いのでご注意ください
- 税金は自己破産では消えません。猶予制度の申請には期限があるので、早めに窓口へ相談してください
- 費用が心配なら、法テラスや日本クレジットカウンセリング協会など無料の公的窓口から始められます
不安なまま推測を重ねても、状況は良くなりません。まずは開示請求で事実を確かめ、そのうえで打つ手を決めるのが結局は一番の近道です。放置した期間が長いほど選択肢は減っていきますので、心当たりがあるなら今日のうちに一歩進めてください。
財務再生支援センターでは、差し押さえや借金のご相談も承っています。まずはお気軽にお問い合わせください。
※2026年9月時点の情報を元に作成
